「しょうぶ学園」という知的障害を対象とした施設がある。
45年前は知的障がい者援護施設としてスタートしたが、規格に当てはめて「もっとこうしよう。」などの指導・訓練に疑問と葛藤を感じ、施設の代が変わったのをきっかけに、利用者がしたいようにする、その行為に対してただ寄り添うというふうに利用者との関係をそれまでの上下関係からフラットな関係に転換した。
ただ縫いたいから縫う、掘りたいから掘る、土いじりをしたい
それぞれの得意な事、好きな事、を黙々とする環境を整える事によって利用者の顔つきも変わっていったという。
木工・陶芸・刺繍・絵画・パン屋・そば屋・パスタ屋
色々な工房・お店があり、利用者はそこで働いたり、創作活動を行う。
サドベリースクールでの子どもと大人の関係と通じるところがあるなと感じていてかねてより興味を持っていた。
春休み、娘が通う幼稚園の卒園旅行が四国であるということで、それとセットにして「しょうぶ学園」のある鹿児島を目指すことにした。
3月24日 卒園旅行
2年前と同じ旅程で、渋川動物園(岡山)へ。
この動物園も1人でも動物園が出来るんだよ!と園長の宮本さん
本も出たそうでそちらも読んでみたい。
晴れの国岡山はこの日も良い天気。
2年前来たときは野ちゃんはまだ生まれていなかったし、楓ちゃんは動物に触れるのも怖がっていたし、泰ちゃんも家族から離れられなかったけれど、2年経っての違いというものを感じる時間でした。
泰ちゃんは友達と園内をどこまでもどこまでも散策するし、楓ちゃんも動物たちを満喫している様子でした。
その夕方は香川の塩入温泉へ移動し、大きな建物を園で借りて、温泉へ行ったり、子どもたちは大きな建物で遊び、大人たちは酒やつまみを飲みながらワイワイと談笑し、その翌日は香川でうどんを食べたり、国立公園で遊んだりして過ごしました。お昼園のみんなと別れて、いざ鹿児島を目指す旅へ。
車って便利ですね。
1週間程度の食材・テント・寝具などを積みながら、家族5人を乗せ移動出来る。
小さな子ども連れなので、鹿児島までちょっとずつキャンプしながら進みました。
1泊目は愛媛の今治の近くにあるキャンプ場でした。
菜生ちゃんが「普段は山暮らしだから海沿いのキャンプ場が良い。」ということで、そこにポイントを絞っていきました。
googleさんも便利ですね。
図書館でキャンプ場や子ども遊びスポットみたいな雑誌を何冊も借りて携帯していましたが、googleさんの口コミ情報や、ナビ情報も大活用させてもらいました。
火は良いですね。
行く先々で焚火をしました。
キャンプ場にはだいたい枯れ枝なんかが落ちているので、それらを集めて来ては焚火をして料理したり、お湯を沸かして焼酎のお湯割り(子どもはココアなんか)を飲んだり
すぐそこにエネルギーがあって利用できる環境ってのも素晴らしいなと感じました。
すぐそこが潮干狩りが出来る干潟でした。
泰ちゃんが2年前した高知でのキャンプで潮干狩りがとても楽しかったみたいで、今回も潮干狩りを楽しみました。
ここは漁協さんが中心になって運営している潮干狩り場で、大人1人500円でさせてもらいました。
遠くから来たと分かると、「いっぱい採って行ってよ」と歓迎してくれました。
泰ちゃんと菜生ちゃんがせっせと潮干狩りしている間、野ちゃんは熟睡。
潮干狩りは朝の6時半から8時半の2時間でした。
待っている間、僕と楓ちゃんはお散歩したり、コーヒーやジュースをごちそうになったりして過ごしました。
とても雰囲気の良い場所と人々でした。
基本車での移動はお昼の子どもたちの昼寝に合わせて
高速道路をただ走るだけでは面白くないよね。と、時折地図を見ながら下道も走ったり。
キレイな海の道の駅があったりすると嬉しくなって立ち寄ったり。
じゃこ天や鯛めしを買い食いしたり。
その時に起きていたらきれいな景色や食べ物を共有できますが、寝ている人たちはそれらを共有出来ません。
愛媛の八幡浜から大分の臼杵へフェリーで移動しました。
愛媛の八幡浜もなんだか良い雰囲気でしたが、滞在は叶いませんでした。
帰路ここでゆっくりしたいねって言っていましたが、帰路に通ることもありませんでしたので、また機会があれば立ち寄りたいと思います。
フェリーでの移動も好きな我が家
この航路は2時間半という短い間でしたが、瀬戸内海の海を感じながら移動出来ました。
この船では楓ちゃんがずっと寝ていました。
臼杵に着いたのが5時、日没までになんとかしたいねとキャンプ場を検索してこの日は宮崎北端の下阿蘇ビーチへ。
フリーサイトも常設テントも同じ3200円だったので、常設テントで寝ることにしました。
この日も焚火をして晩御飯。
朝に採ったアサリをスパゲティにして食べました。
常設テントは楽ちんでした。
荷物の移動も道路から近くて助かりました。
翌日は近くにパターゴルフと海がありましたので、そちらで遊びました。
パターゴルフのハーフコースを父と一回周り、母と一回周った泰ちゃん。
満喫していました。
楓ちゃん野ちゃんは海へ
宮崎は暖かかったですが、まだ泳ぐ感じではない水温でした。
貝を拾ったり、波打ち際で遊んだり
ここもきれいな海だったな。
何気なく選んで泊まったビーチでしたが、九州No.1ビーチって書いてありました。
誰が決めたNo.1かは分かりませんが、確かにきれいなビーチでした。
またまた昼寝の時間に合わせて移動。
「移動がしんどいっていうのは私たち(夫婦)の先入観なんかな?友達の家族は週末子連れでドライブとかするみたいよ。」と菜生ちゃん。
どうなんだろうか?
それでも基本的に昼寝に合わせて移動が基本指針ではありました。
お昼は宮崎が発祥らしいチキン南蛮のお店へ。
何気なく選んだお店が有名店だったみたいで、20分くらい並んでいただきました。
食べログとか見ると「こんな美味しいチキン南蛮は食べたことがない!」「色々食べ歩いたけれどここ以上のチキン南蛮は無い!」といった書き込みが多数。
泰ちゃんに「ここは世界一旨いチキン南蛮のお店らしいよ。」と話しながら食べました。
旅にはアクセント、エッセンスは重要だなって感じました。
泰ちゃんもスペシャル感を感じてくれたみたいで、後からも「あそこでチキン南蛮食べれて、良かったよね。」と折に触れて思い出してくれるそんなお店になりました。
夕方5時しょうぶ学園到着。
学園内のゲストハウスに泊まらせてもらいました。
近くのスーパーで買い出し。
せっかく鹿児島に来たから豚肉を食べようということで、豚しゃぶ。
鳥刺しも有名みたいで、それも同時に購入。
豪華な晩餐になりました。
テント暮らしの後にこういう家で過ごすとどこかホッとするところもありますね。
テントの疲れ、移動の疲れをこのゲストハウス2泊で解消させてもらったように思います。
翌日10時から12時まで施設を案内してもらいました。
昼食は施設内のパスタ屋さんで生パスタをいただき、午後は施設長の福森伸さんがお話してくれたり建設中の劇場も案内してくれました。
相手を認める
相手と向き合う
自分の好きと向き合う
強制しない
寄り添う
「社会全体を変えることは僕には出来ないけれど、施設を利用してくれる人をハッピーにすることは出来る。社会のルールを変えることは出来ないけれど、施設のルールは作ることが出来る。」という福森さんの言葉が印象に残っています。
そのように活動してこられ、積み重ねてきた年月、それが社会に評価され、社会もちょっとずつ変わっていくのだと感じました。
僕自身今まで数回、障がい者福祉施設を体験させてもらったことがありますが、今まで経験してきた施設とは全然違う清々しさをしょうぶ学園からは感じることが出来ました。
こんな施設だったら利用する人は気持ち良いだろうなと思えるような、働いている職員の皆さんも利用者さんもみなさん良い顔していました。
楓ちゃんが生まれてきて色々と触れる機会の多くなった障がい者の社会。
どういった考えでもって彼女たちと向き合ったら良いのかな。
どんな社会・環境が良いんだろう。
それは障害あるなしに関わらず共通したテーマでもあるような気がしてきていて、何か僕たちが生きていく上で大事な事の様に感じています。
泰ちゃんは楓ちゃんを妹に持つことによって、この様な場に「付き合わされる」ことも機会としてあります。
今回のしょうぶ学園訪問も最初は「嫌だなぁ。」「行きたくない。」など上手く言葉にならない言葉で声に出して表明していましたが、しょうぶ学園滞在2日目に「泰ちゃんなんとなくここの良さが分かったような気がする。」と言ってくれました。
それがどの程度どうなのか本当のところは分かりませんが、親が良いなと思うようなことを子どもと一緒に経験していくことは大事なことなんだろうと思います。
親の価値観が全てでは勿論ないですが、多くの時間を共に過ごすメンバーとして、影響はあるかと思います。
(楓ちゃん撮影)
なるべくたくさんの「イイモノ」「イイジカン」「イイコト」を共有して行けたら良いなと思います。
全てのものや事に関心を持ち、関わっていくことは不可能ですが、他と関わるうえでの「心」みたいなものは自分を含め育んでいきたいものです。
せーっかく鹿児島までやってきたので、南洲神社、天文館、桜島なんかもめぐりました。
この旅2回目の船で桜島へ
煙がもくもく
火山とか溶岩とかそんなものを感じる時間でした。
しょうぶ学園の職員さんに聞いてお勧めの温泉にも行きました。
混浴のオーシャンビューの温泉
鉄分の多い温泉でした。
他のお客さんはおらず、家族でゆっくり入れました。
泰ちゃんはシロクマを食べれて嬉しそうでした。
ベビーカーと抱っこひもで夜の天文館をブラブラ
急ぎ足だったかもしれませんが、鹿児島も味わいました。
車でウリャーって家まで帰ることも考えましたが、鹿児島の陽気に「もうちょっとこの暖かさ(最高気温25℃)を満喫したら良いかもね。」「車での移動は結構大変だよね。」みたいなことから、もう少し鹿児島でゆっくりして、船で大阪まで帰ることにしました。
大隅半島の志布志港の近くにある国の松原キャンプ場へ行きました。
天然の潮干狩りをしてみたり、キャンプ場内のアスレチックで遊んだり、ゆっくりと家族の時間を過ごしました。
泰ちゃんは軽石集め。泰ちゃんは帰宅後これらの石を玄関に飾っていました。
ゴールデンウィークはここのキャンプ場はいつも満員だとか。
でも僕たちの滞在中(金曜・土曜・日曜)はガラガラでした。
めちゃめちゃ気持ちの良い陽気でしたが、鹿児島の人たちはキャンプをせずに何をして週末過ごしているんだろうとすら思いました。
あまり家族でキャンプをして過ごす母数は多くないのかな。
何にせよ、春休みたっぷりと家族の時間を過ごす事が出来ましたし、しょうぶ学園ではいい勉強をさせてもらいました。
帰りは志布志港から大阪までのフェリーを利用。
車も一緒に運べて家族もみんな移動出来て、夕方5時出港の翌朝7時40分到着の船旅でした。
お風呂も入れて、プロジェクションマッピングがあったり、ピアノ演奏があったりで楽しい船旅でした。
3万5000円でした。
泰ちゃんは意外とこういう着ぐるみキャラに興味を示すようです。
この着ぐるみキャラがピアノ演奏してくれました。
8泊9日の旅でした。
(温泉1泊、キャンプ場4泊、しょうぶ学園2泊、船1泊)
大阪着いてからは社会見学の一環で神戸のCOSTCOへ行って買い物しました。
例によって昼寝に合わせて帰宅。
帰ったら雪が降っていましたとさ。
(おまけ)
偶成
幾歷辛酸志始堅
丈夫玉碎恥甎全
我家遺事人知否
不爲兒孫買美田
「幾たびか辛酸を経て志始めて堅し。丈夫玉砕甎全を恥づ。一家の遺事人知るや否や。児孫の為に美田を買わず」
「人の志というものは幾度も幾度もつらいことや苦しいめに遭って後はじめて固く定まるものである。真の男子たる者は玉となって砕けることを本懐とし、志をまげて瓦となっていたずらに生き長らえることを恥とする。それについて自分がわが家に遺しおくべき訓としていることがるが、世間の人はそれを知っているであろうか。それは子孫のために良い田を買わない、すなわち財産をのこさないということだ。)
「南洲翁遺訓より」
南国の旅、ゆっくり堪能したようだね~。みんないい顔で楽しそうで最高!!
返信削除最高でした! 九州も良いなと意識が広がりました。
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